川添茶とは、和歌山県では数少ないお茶どころ、白浜町市鹿野(旧川添地区)で作られたお茶です。
栽培の歴史は江戸時代初期の1600年頃までさかのぼり、紀州藩の初代藩主・徳川頼宣公にも献上されたそうですよ。
産地の川添地区は、清流・日置川上流の山間地に位置し、日照時間が短く、また昼夜の寒暖差が大きいため、品質のよいお茶を作るのに適しているのだそうです。
きれいな水と空気にも恵まれ、美味しい川添茶が生み出されているんですね。
この日は、その川添地区でお茶を生産されている紀州白浜・上村茶園の代表であり、川添緑茶研究会の会長でもある上村さんが講習してくださいました。
「手もみ茶師」として和歌山県の名匠にも認定されている方です。
穏やかな笑顔、静かな語り口の上村会長ですが、お茶への愛と熱意がびしびしと伝わってきて、真剣にお話に聞き入ってしまいました。
まずは、ウェルカムティーの紀州白茶「白露」をいただきます。世界緑茶コンテストで最高金賞に輝いたお茶だそう
茶葉を揉まずに天日で乾かしているので、茶葉そのものの形が残っています。脂っこいものとも相性がいいとのことで、梅入りのピザが出てきました。ピザと緑茶
意外な組み合わせですが、確かに美味しかったです。
次は、紀州煎茶「ひきがわ」の新茶3種類の煎茶を、湯温や湯量、淹れる時間を変えて楽しみます。
実は、1種類目の機械摘み煎茶は、淹れるのに手間どってしまい、渋みが出てしまいました。
「このような湯冷ましに、最後の一滴まで淹れてしまってから各自の湯のみに分ければ、時間が経ちすぎて渋みが出ることなく、均等な味を楽しめますよ」
とアドバイスをいただき、今度は手摘み煎茶で言われた通りにやってみると・・・本当だ、甘みが全然違う
「高級茶は渋い、と皆さんおっしゃいますが、それは誤解。熱湯で長く出すから渋みが出てしまうんです。甘み・旨みを出すなら、60℃以下のお湯で」
と上村会長。なるほど〜
ちょっとした工夫で、お茶本来の味を引き出せることができるということに、とっても感動しました
新茶の季節には、新茶ならではの爽やかで香り高いお茶を楽しむ・・・そんなことからも、すっかり遠ざかっていました。
川添茶のパウダーを使用したクッキーやロールケーキをお茶請けに、緑茶の木から作った紅茶「べにちゃ」や、紀州釜入り玉緑茶「将軍川」などをいただき、すっかりリラックス・・・幸せなひとときです
「もしまだお時間があれば、こちらもいかがですか?」
と、最後に淹れてくださったのが、希少な手もみのお茶でした。
甘いこんなに甘いお茶は初めて・・・甘み・旨みと、ほのかな苦みのバランスが絶妙です。
機械でも、手もみのお茶と同じ味を出せるようにと開発が進んでいるそうですが、どれだけよくできたものでも、やはり手もみの味にはかなわないそうです。
熟練の手もみ茶師による絶妙な力加減もさることながら、作り手の思いが込められているからでしょうか。
目からうろこの、水出し煎茶の作り方も教えていただきました。
なんと、氷水に茶葉をそのまま入れて、20〜25分待つだけ
冷蔵保存すれば、10時間はそのままの美味しさを楽しめるそうです。
暑い夏にぴったりの、爽やかな水出し川添茶。イベントなどでこの方法でふるまうと、小さなお子様から高齢の方まで大好評で、何度もお代わりする方もいるとか。
「かしこまってお茶の作法を勉強する必要なんて、ないんですよ。気軽に美味しいお茶を楽しんでいただければ・・・」と上村会長。
茶葉の賢い保存方法や、意外なお茶の活用法、はたまた茶粥の美味しい作り方など、お茶にちなんだお話が尽きることなく、上村会長のお茶への愛情と、作り手が直接、お茶の良さを伝えていかなければ!という使命感がひしひしと伝わってきた、素晴らしい講習会でした。
次回は、茶園での講習会開催も考えられているそうです。
美しい茶畑を眺めながらのお茶の味は、また格別でしょうね〜。楽しみです
(しゃぶ)