7月、アメリカの旅行仲間4人組の1人、ハミルトンさんからメールを受けたビューロースタッフが、その後やりとりしたメールの数は100通を超えました。
8月、行程も決まり、9月。いよいよ熊野への旅行が近づいた時、台風12号は熊野地域に豪雨をもたらせました。
被災地域とは連絡が取れない中、たくさんのお客様へ状況の説明と行程変更の相談、キャンセルの手続き・・・と業務に忙殺される日々。
およそ1週間が過ぎ、直接顔を見合わせたスタッフは私に言いました。
「道路の問題はあるけれど、ジャンボタクシーの運行ルートを変更すれば、高野山〜龍神温泉〜熊野本宮〜白浜はまわることができる。熊野古道も調査が終われば歩けるルートが必ずあるだろうからそれを提案する。川湯温泉も泊まれるし、行程をアレンジしてハミルトンさんには予定通り来てもらうことにした。」と。
毎日毎日、浸水した本宮事務所の片付けに追われていた私にとっては、驚きでした。今まで作ってきた熊野へのツアーはすべて取り消されるだろうと思っていましたから。それに来てもらっても楽しんでもらえるのか?という疑問もありましたし

10月、川湯温泉冨士屋にとっては台風災害を受けて以降初めての、当ビューローにとっては和歌山市内や龍神温泉以外の被災地域となると台風災害後はこれが初めて

。私自身、お客様がどういう反応をされるのか不安もありました。
待ちに待ったお客様

。その喜びを共感してくれたのが熊野本宮観光協会の方々でした。旅館もビューローも観光協会も熊野本宮大社も一緒になってこのお客様を歓迎しよう

そういうことになりました。
そして、遠いところはるばる熊野へ来てくださったハミルトンさん。感謝の気持ちを伝えるために手作りの横断幕を掲げて大歓迎。

なんと賑やかな所か!

と思ったでしょうか。長旅の疲れも見せず、私たちに気遣いの言葉をかけてくださいました。「温泉に被害がなくて良かったですね。私たちは熊野へ導かれてやってきたという思いを持っています。」と。
この前の日、熊野古道発心門王子から熊野本宮大社までの熊野古道約7キロが歩行可能と田辺市文化振興課が発表

。前日に滝尻王子〜高原熊野神社の熊野古道をすでに歩いていたハミルトンさん達も、このルートを歩くことにし、無事熊野本宮大社までご案内することができました。
そしてそして、ここでは和太鼓グループ、奥熊野太鼓の生演奏を聴いていただきました。短い時間でしたが、リズムを刻みながらエキサイトされていたように思います。熊野本宮大社からも記念の品が贈呈されました。
(撮影日:12月5日頃)
このことは、多くのメディアが取材してくださいました

。

撮影の許可をいただいたといえ、想像以上のボリュームの多さに負担をかけてしまったのではないでしょうか。ハミルトンさんは70代。お疲れもあるでしょう。このあともお元気でご旅行を続けられますように。
後日、自分達が一面に掲載された新聞を大量に購入していかれたとガイドさんから報告がありました。興奮の混じった笑顔が浮かびます

旅行好きで世界各地を旅されているハミルトンさん、(日本も七回目だそうです!)今回の高野・熊野旅行が、大きな想い出の1つになればと、心から思います。
そして、このような時期に熊野へお越しくださいまして本当にありがとうございました。
熊野は美しく心が落ち着く。心遣いが素晴らしい。など素敵なお言葉をたくさんいただき、私たちも元気づけられました。そして自信になりました。
来てくださって本当によかった。
各地をつなぐ幹線道路の迂回も解消されつつあります。田辺⇔中辺路・本宮の国道311号線は10月4日に、本宮⇔十津川温泉をつなぐ国道168号線も10月8日に仮復旧。新宮⇔本宮をつなぐ国道168号線は10月14日復旧予定、高野⇔龍神をつなぐ高野龍神スカイラインも10月20日復旧予定となっております。(10月12日現在)
台風以前に比べ、まだまだ観光客の姿が少ない熊野地域ではありますが、みなさんの熊野へのお越しを心からお待ちしております。
ありがとうございました。
(つぶこ)